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高精度移動式プレミアムナイフホルダー開発の経緯

1章 高まる切断品質に応える為に・・・

高精度移動式プレミアムホルダー

<高精度移動式プレミアムホルダー>

金属箔やプラスチックフィルムに代表されるシート材の製造工程中にはスリット加工と呼ばれる切断工程があります。
その工程で加工機にナイフを装着するための保持部品が“ナイフホルダー”(以下“ホルダー”)です。上記切断工程において、お客様から、「切り口がより向上する方法はないのか」、「移動式で精度が高いホルダーが欲しい」等のご要望を数多くいただきました。このようなお客様のご要望に刃物メーカーとしてお応えできるよう、『挑戦の精神』にて高精度なホルダーの開発に取り組むことになりました。

まず初めに、高精度ホルダーを開発するにあたり、従来の移動式ホルダーの問題点、

  1. ①ナイフ装着面のスラスト振れ(刃物回転時に起きる振れ名称。横振れのこと。)精度
  2. ②コイルバネ特有の荷重特性の問題

を解決しなければなりませんでした。
以前の移動式ホルダーの特徴は、仕様面から、移動性能と高精度の実現が両立できない現状でした。そこで弊社としては、移動可能且つ高精度化を実現できるようにホルダーの仕様変更及びバネ(上刃と下刃の接圧を掛ける為のバネ)の仕様変更を試みることになりました。バネにおいては、コイル状のバネから皿状のバネへ仕様変更を行い、接圧を安定して掛けられるような設計を行いました。

<コイルバネ時の荷重変動幅>

コイルバネ時の荷重変動幅

<皿バネ時の荷重変動幅>

皿バネ時の荷重変動幅

※測定は弊社測定法による

ホルダーにおいては、ホルダーをシャフトへ装着する部分の仕様変更を試みた結果、スラスト振れ精度の向上に成功することができました。(スラスト振れ精度約30μm未満・・・従来品は100μm以上の振れ精度でした。スラスト振れ精度の測定は弊社測定法による)
こうして、開発した高精度ホルダーは従来のホルダーと差別化を図るために「高精度移動式プレミアムホルダー」と呼ぶことにしました。現在、高精度移動式プレミアムホルダー及び皿バネは商品化され、お客様に広くご使用頂いております。

コイルバネ時の荷重変動幅

<シャフト装着時のホルダー>

皿バネ時の荷重変動幅

<皿バネ>

2章 絶えない要求への挑戦

プレミアムホルダー誕生から6年、EV(電気自動車)やスマートフォンの普及に伴い、市場での各部材、素材の品質、コストに対する市場の要求は厳しさを増してきております。
スリット加工においても例外ではなく、移動式ホルダーについても基本となる精度はもちろんのこと、刃替え作業時間の短縮を提案した「クイック」モデル、熟練を要する刃合せ作業の簡便化を提案した「プリセット」モデル等をラインナップに加え、よりお客様のご要望にお応えできるようになりました。
「クイック」モデルは刃替え時間が従来のボルト式から大幅に短縮され、大変ご好評をいただいております。(刃替え時間がクイックモデルは従来品の約4分の1となっております。)
「お客様に高品質な刃物類とスリット技術を提供させて頂きたい」 私たちのあくなき研究姿勢がスリット関連製品の開発に繋がっています。これからもお客様に喜ばれる製品をお届けする為の挑戦は続いていきます。

製品イメージ
クイックホルダーの参考動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=O4AE82XsI58